ページビューの合計

ソロス氏、次なる標的

2014/02/05 




 ソロス氏、次なる標的は中国のエンロンか

1月14日(ブルームバーグ):

資産家のジョージ・ソロス氏は、北京から熱烈歓迎の招待状が届くと一切期待すべきでは

ないだろう。空売りの名手として中国巨大危機説を唱えたところなのだから無理もない。

ソロス氏が最初に大国の政府を敵に回したのは、1992年に英ポンドの空売りを仕掛けた

時だ。英政府は面目を失い、当時のメージャー政権は欧州為替相場メカニズム(ERM)か

らの離脱を余儀なくされた。この取引でソロス氏は20億ドル(約2100億円)を手にしたとさ

れる。米国のサブプライムローン危機でも同氏は相当額をもうけた。アジアでは1997年、マ

レーシアのマハティール首相(当時)がアジア危機を引き起こそうとするユダヤの陰謀の首

謀者だとして同氏を批判した。

そのソロス氏が今、目をつけているのが中国だ。プロジェクト・シンジケート向けの2日の寄

稿で、同氏は中国資産を空売りしているかは明らかにしなかった。しかし同氏が展開した

論旨は、習近平国家主席を喜ばせる内容ではなかった。ソロス氏に言わせれば、世界が

直面しているリスクの最たるものはユーロでも米議会でも日本の資産バブルでもなく、今眼

前で実態が明らかになりつつある中国の債務危機なのだ。

「中国の現在の政策には、解決されていない自己矛盾がある。経済の加熱炉を再稼働させ

れば、急激な債務拡大にも再点火することになる。これが持ちこたえられるのはせいぜい

2、3年だろう」とソロス氏は記している。

習主席がソロス氏の警告を無視するとすればそれは怠慢だろう。北京大学のマイケル・ペ

ティス教授もキニコス・アソシエーツのジム・チャノス氏も数年前から同様の警告をしてい

る。シルバークレスト・アセット・マネジメントのパトリック・ホバネツ氏は中国の「影の」バラ

ンスシートを不安視する。

中国は外からの警告に従って政策を決めたなどと絶対に認めないが、それでもシャドーバ

ンキングをめぐる政策当局のここ1週間ほどの動きは注目に値する。例えば、中国国務院

が簿外の融資を対象に規定の強化を命じ、シャドーバンキングに新たな規制を設けたと事

情に詳しい関係者が述べている。

この業界については、真実を表す名前で呼ぶことが必要だと私は考える。それは中国のエ

ンロンだ。2001年に経営破綻した米ヒューストンのエネルギー会社エンロンの真のビジネ

スはエネルギーでも商品でもなく、帳簿の操作だった。中国のシャドーバンキングも同じ

だ。中国政府はこれを、格付け会社や米財務省の注意を引かずに「加熱炉を再稼働」させ

る燃料として使っている。

中国の金融システムは究極のブラックボックスだ。同国のシャドーバンキングの規模は

2012年の同国国内総生産(GDP)の69%に相当したとJPモルガン・チェースは見積もった

が、これが極めて控えめな試算だとの結論には天才でなくとも達する。中国が貿易などの

データをお化粧させていることを考えると、信用バブルの度合いを隠すために手を尽くすで

あろうことは想像に難くない。

ソロス氏は中国について、「2008年の危機を前にした数年間の米国における金融環境と不

気味な類似性がある」と書いている。その上で「しかし、大きな違いは米国では金融市場が

政治を動かすが、中国では国が銀行と経済の大きな部分を掌握していることだ」と指摘し

た。

スティーブン・ローチ氏が指摘するように、中国にはスローガンを掲げればそれで良しと考

える傾向がある。経済改革と持続的成長、公的な説明責任についての崇高な決意表明と

、年率7%以上の成長を続けると習主席が繰り返すことの間には本質的な矛盾がある。

両立は不可能だ。中国が高い成長率を維持する限り、改革は進まず見えないところで債務

が膨らみ続ける。

これまでのところ、中国について空売りを仕掛けて大もうけをした人はいないが、ソロス氏

の警告は絶対的に正しい。高成長を犠牲にせずに過剰投資・債務の経済をサービス業主

導の経済に転換できるという中国の主張には懸念すべき矛盾がある。習主席が今行動し

なければ、ソロス氏はまた20億ドル、いやそれ以上をもうけるかもしれない(ウィリアム・ペ

セック)


   中国経済の崩壊は隣国日本に直接的な大打撃を与える。

 中国の怪しげな統計操作は周知ではあるが蒸し返し程度と軽視してはいけない。
昨年末の米国の金融緩和縮小の影響が廻り回って中国の操作帳簿の粉飾を明らかにしそう。
お金の流れが逆流し始めたようだ。借入金など債務は残るが不良資産が増加して正常資産が縮小する。